最近フィットネスクラブや一般家庭にも広まっているフォームローラーの正しい効果と正し使い方

皆さんこんにちは。

B-STプロトレーナーの田中です。

現在は、ジェクサー新宿にて活動をしています。

今回は、フィットネスクラブや一般家庭でも浸透してきたコロコロの棒状のツール、フォームローラー。

トレーニング前や後に床に横になりながら、フォームローラーでコロコロと筋肉に圧を加えている光景をよく見かけます。これはセルフコンディショニング法のひとつで、筋膜という言葉の流行りに乗り最近は「セルフ筋膜リリース」と呼ばれます。

論文内での表現ではSelf-myofascial release(SMR)と表記します。

多くの人がこのセルフコンディショニング法を取り入れるようになりましたが、実際にはセルフ筋膜リリースに関して誤解されていることが多く、場合によっては怪我につながりかねないやり方で行われることがありますのでそのあたりを改めて整理し、どんな効果があるのか紹介していきたいと思います。

 

1.どんな効果が期待されるの??

「セルフ筋膜リリースで可動域が広がる」

多くの研究で、セルフ筋膜リリースを行なった後に可動域が広がることが確認されています。ここではいくつかの研究を例に見ていきましょう。

この研究では、大腿四頭筋に対して1分×2セットのセルフ筋膜リリースを行ない、膝の可動域に変化が出るのかを調べました。

結果、セルフ筋膜リリースを行なった2分後と10分後に、一時的に膝の可動域が広がったことが見られました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/22580977/

またこちらの研究でも、フォームローラーはパフォーマンスに悪影響を及ぼさずに関節の可動域を増加させることに短期間の影響を及ぼし、激しい運動後の筋肉のパフォーマンスおよび筋肉痛の減少を軽減するのに役立つと結論づけています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4637917/

しかもこの研究は14の研究をまとめたシステマティックレビューです。

※システマティックレビュー

文献をくまなく調査し、ランダム化比較試験(RCT)のような質の高い研究のデータを、出版バイアスのようなデータの偏りを限りなく除き、分析を行うことである。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/システマティック・レビュー

 

2.筋肉痛に効果あり

研究において、セルフ筋膜リリースは筋肉痛の軽減に有効であることが報告されています。ちなみに、この軽減というのは、筋肉痛を予防できるという意味合いではなく、筋肉痛が発生してから、その主観的な痛みを和らげることができるということを意味します

それでは、筋肉痛に対するセルフ筋膜リリースの効果を調べた研究を見てみましょう。

2014年の研究では、次の2つの条件を用いて、セルフ筋膜リリースが筋肉痛に及ぼす影響を調べました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/24343353/

・スクワット直後、24時間後、48時間後に、セルフ筋膜リリースを行うグループ

・スクワット後に何もしないグループ

両グループともスクワットは10回×10セット

1-10の主観的筋肉痛のレベルを自己申告で、24、48、72時間後に回答してもらいました。

結果、セルフ筋膜リリースを行なったグループは、何もしなかった場合と比べてトレーニングをした後の筋肉痛が軽くて済みました。

2015年に同じ研究者によって行われたこちらの研究でも似たような結果になりました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/25415413/

10×10スクワット後24時間、48時間、72時間の時点での痛みのチェック、30mダッシュ、敏捷性のチェックなどを行いました。

その4週間後、再び同じようにスクワットを行い、24時間後、48時間後、72時間後に同様のチェックを行いました。

それに加えて今回はフォームローラーを使います。

筋膜リリースは下肢の各部位45秒×1セット実施し、トータルの実施時間は20分間(各レストを含む)であった。

スクワットを行った直後、24時間後、48時間後にフォームローラーを使って筋肉をほぐしました。

結果

・24時間、48時間経過時の筋肉痛が大幅に軽減

・筋肉痛によるパフォーマンスの低下も若干抑えた

という結果が見られました。

筋膜リリースは筋肉痛を軽減してくれることがわかりました。

できれば筋肉痛になってから入念に行うよりも、運動直後に行う方が翌日の筋肉痛が軽減しそうです。

運動直後に筋膜リリースを行ったのに翌日筋肉痛になった場合、再度筋膜リリースを行うと痛みが随分と楽になるようです。

結果から考えられるフォームローラーでの筋膜リリースの実地時間

・可動域を広げたい場合

1つの部位に対して1〜2分間くらい

・筋肉痛を和らげたい場合

トレーニング直後に1つの部位に対して1分間くらい。トレーニングの24、48時間後にわたって定期的に行うとより筋肉痛を和らげる可能性あり

 

注意点

よくツボ押しマッサージ感覚でゴリゴリ押し付ける光景を見かけます。

強すぎる力を加えることは身体にとって危険なだけでなく、効果的ではない可能性があります。

筋肉痛や可動域の向上という目的でアプローチしたいのはそれほど深い部分ではなく表層の部分なので表層にアプローチするには適度なやり方で十分です。

柔軟性やジャンプに関するパフォーマンスの影響に関してフォームローラーの強さによる効果の違いも研究されたみたいですが、強さによる効果の差はなかったみたいです。

https://journals.lww.com/nsca-jscr/Citation/2018/11000/Higher_Quadriceps_Roller_Massage_Forces_Do_Not.8.aspx

痛みを我慢してキツく行っても効果は変わらないので、ある程度優しくほぐすようにしてみてください。

ABOUTこの記事をかいた人

B-ST MAGAZINE編集部

ボディメイクをより楽しく、身近なものに。
トレーニングやライフスタイルをもっと楽しくするボディメイクメディアです。
編集部では、様々なお知らせとともに、トレーナーに関する情報やプレスリリースなどを配信しております。