【脂質とは】
“脂肪″と聞くと、おなか周りについてる邪魔なものというイメージがありますよね。脂肪というのは一般的に中性脂肪のことを言います。そしてこの中性脂肪と言われる贅肉たちは溜め込み過ぎるとおなかが出てきて様々な疾患に繋がってしまいます。
しかし脂肪は、エネルギーを貯蔵するのに欠かせない三大栄養素の一つでもあるんです。
ここで、「あれ、脂質は脂肪と何か違うの??」と思った方いらっしゃると思います。食品を買う時に、裏面などに成分表ありますよね。『脂質…○g』という項目がその中にありますが、こういった食品に含まれている脂質というものは、そのまま全てがお腹周りなどに体脂肪として蓄えられるわけではなく、脂質と脂肪は厳密には意味合いも異なってきます。ですがここではだいたい同じものと捉えておいて大丈夫です。

【脂質の役割】
脂質は体脂肪になるだけでなく、身体に欠かせない大事な役割を担ってるんです。
脂質は身体の細胞膜やホルモンの材料になったり、生理作用を保つ働きもあります。それに身体のエネルギー源としても大事な役目を果たしています。
脂質が足りなくなってくると、皮膚炎や免疫力の低下、発育の障害につながったり、疲れやすい身体にもなってしまいます。
また、1gあたりのカロリーは、炭水化物やタンパク質が4kcalなのに対して、脂肪は9kcalもあるため、かなり効率の良いエネルギー源だと言えます。しかしこのことは裏を返せば、摂りすぎるとあっという間にカロリーオーバーになって太りやすくなってしまうということです。
【摂りたい脂質】
脂質には種類がいくつ存在し、積極的に摂りたい身体に良いものもあるんです。
・EPA, DHA
この二つはよく目にしているかもしれないですね。オメガ3脂肪酸と呼ばれるもので魚類に多く含まれます。動脈硬化、がん、認知症などの予防に効果的です。ニシン・ニジマス・サーモン・サバ・イワシ・アンチョビなどの魚に特に多く含まれています。
・リノール酸
これはオメガ6脂肪酸の一つでコレステロールを減らす働きを持っています。これはベニバナ油、大豆油、グレープシードオイルなどに多く含まれています。
さらに、リノール酸が変化してできた共役リノール酸(CLA)はトレーニング中の脂肪燃焼を促進するなど、脂肪の分解・燃焼・抑制に大きく貢献します。この共役リノール酸は肉や乳製品に多く含まれています。最近では共役リノール酸に特化したサプリメントなども開発されています。
・中鎖脂肪酸
中鎖脂肪酸は一般的な油と比べて分解されるスピードが速く、エネルギーになりやすい上に脂肪になりにくいんです。
低栄養状態に陥りやすい高齢者は効率よくエネルギーを摂取するために中鎖脂肪酸を摂ることが推奨されており、医療や介護の現場では10年以上前から低栄養対策として中鎖脂肪酸が使用されています。
ココナッツ、パームフルーツなどに多く含まれています。
このほかにも脂質は色々と種類があり、私たちの身体に嬉しい効果をもたらしてくれる脂質も多く存在しています。賢く摂取して健康的な食生活を意識しましょう。

【一日で摂るべき量は?】
成人男性の場合だと、58~88g程度が目安になります。
これは、一日に必要な脂質摂取量は一日の総摂取エネルギー量の20~30%と言われているので、成人男性の場合、一日に必要なエネルギー量である2650kcalから計算してこの値になります。正確にはその人の運動量などによって一日に必要なエネルギー量は変わってくるので個人によって数字は変わってきます。まずは自分が一日に摂取しているエネルギー量を把握して計算してみることが大事ですね。
計算式としては
一日の総摂取カロリー(kcal)×0.2~0.3÷ 9 = 一日の脂質摂取量の目安(g)
となります。
ちなみに成人女性の場合は43~66g程度が目安です。
食品別で脂質の含有量をみてみると
牛丼(一人前)・・・24g
鶏のから揚げ(100g)・・・24g
ハンバーグ(120g)・・・16g
ショートケーキ(8等分サイズ)・・・25g
アイスクリーム(200mlカップ)・・・14g
ドーナツ(一個)・・・9g
ご飯(160g)・・・0.5g
食パン(6枚切り1枚)・・・2.6g
と、なっています。
ショートケーキ二個食べてしまうだけで女性の一日で必要な脂質量を満たすことになります。
【脂肪を摂りすぎると】
近年、日本人の脂質の摂取量は増えてきています。脂質を摂りすぎると肥満に繋がり、脂質異常症をはじめとする生活習慣病のリスクが高まってきます。
また、血液中の脂肪が多くなってくるとドロドロの血液になり、動脈硬化を引き起こします。すると狭心症、心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まります。

現代では食の欧米化で高脂質な食品が溢れています。自分の身体は自分で守れるように普段の食事を見直してみましょう!